ユニクロのセール価格１２９０円のチェックのシャツが欲しいが、その程度の金額すら捻出できない自分に愕然とする。
金が無いのは首が無いのと同じ。至言だ。
ユニクロのチラシを眺めてコーディネートを妄想する自分が妙に情けない。
せめてもっと高級なチラシを眺めて妄想しようと思うも、高級な店は折りこみチラシなんか出さない。
仕方がないから不動産屋のチラシで妄想する。
方南町駅徒歩七分。どこだ方南町駅。
新築分譲住宅、最寄り駅永福町。あそこは田舎だ。
練馬区旭丘。却下。練馬に住むと思うだけで鳥肌が立つ。
コープブロードウェイ。５９８０万円。青島幸男や沢田研二もかつて住んでいたところだ。ここに決めた。
ブロードウェイの真上に住んでいるのだから、当然部屋はガラクタのような、しかし当人にとってはお宝であるもろもろのアレで埋め尽くされているのだろう。
日常の買い物はブロードウェイ地下の西友で済ませる。まんだらけはもはや我が家の本棚代わりだ。気が向くままに買ったり売ったりなんだりする。時計が欲しくなったら、大黒屋の名物社長に五百万円もする機械式の時計を見せてもらう。時には早稲田通り側にあるダイソーに足を運び、庶民の暮らしぶりを観察するだろう。
時々大槻ケンヂや中川翔子が遊びに来たりもするかもしれない。まんだらけで手に入れた戦利品を並べ、高級なソファでサブカルについて語るのだ。そろそろ死にたくなってきた。
いい感じにデッド。明日の朝は早い。

相変わらずデッド。無意味な一日。
朝八時に一回起きて、彼女からのメールがないことを確認、「妹がテレビに出てた」などという用件で友達からメールが入ってたので返信する。妹さんを僕にくださいお義兄さん。そのまま二度寝。
三時ごろ起きると彼女からのメールが来ている。返信。
またやよい軒で飯を食う。しょうが焼き定食はまずかった。二度と頼まない。
今日のバイトは比較的短時間だった。働いた気がしない。本当に自分は自立しているのかと不安になる。
自分で生計を立てている実感が一切ない。働いて、給料貰って、色々支払いをして、飯を食う。一応ちゃんと生活はしているのだが、なんだか地に足がついていない感覚がある。
バイト終了、喫茶店でミーティングのあと、誘われて食事へ行く。
食事の席で恋愛観の話に。高校生二人が若い恋愛観を熱弁する。青いなと思うが、自分の恋愛観がそれよりもさらに未熟であることに気づき恥ずかしくて死にたくなる。ついでに食事の間中スベリっぱなしでまた死にたくなる。
帰ってきてギネスを飲んだ。一本で酔う。もっと強くならねば。アルコール中毒にならねば。

朝起きたと思ったら時刻はすでに午後三時。
昨日就寝したのが午前零時丁度くらいだったから、十五時間眠ったことになる。
時間間隔と、空腹による身体感覚の喪失が著しい。
彼女からのメールが二件来ていたので、すぐに返信。返事は来ない。
そのまま布団の中で死んだりしたくなったり泣きたくなったりオナニーしたくなったりしながら、半年前のエロマンガ雑誌でオナニーをする。
空腹に耐えかねてやよい軒で飯を食う。
彼女からメールの返信が来ている。どうでも良すぎる内容に腹が立ったが、飯を食ったら忘れた。
おかわり無料のご飯を三杯おかわりしたらおかずが入らなくなりそうになり、四苦八苦しながらも胃袋に全て詰め込む。
満腹というよりも、もはや胃の膨張感と言ったほうが近いような気分を抱えながらアパートに戻る。
おかしのまちおかでつまみにしようとポテチを買ったはいいが、ビールがない。
仕方なくビールを買いに行った帰り、気まぐれに入ったゲーセンでメダルゲームに夢中になる。
当たったり外れたりしながら結局全部すって、しかし奇妙な満足感を覚えながらアパートに帰ってくる。
こたつに潜り込み、日記を書く。
あまりに無意味な一日に死にたくなりそうになったが、有意義な一日なんて人生でも数えるほどしかなかったことを思い出し、安心する。
眠くなってきた。今日十五時間も寝たのに、もう寝るのかもしれない。